轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばんか

晩夏

堀 辰雄

「婦人公論」1940(昭和15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,249 字 · 27 页

青空文庫

もうそういう気まぐれな私には慣れっこになっているので、そっとして置くよりしようがないと観念しているのかも知れなかったが……。そうと決まると、妻は落着いて髪を結いに部屋へ引っ込んだが、暫くするとこんどは自分も本を持って出てきた。そして私と並んで本を読み出した。

ときどき小鳥が、そんな私達の頭とすれすれのところを、幽かな羽音をさせながら、よろめくように翔んで過ぎった。

例の娘達の部屋はまだひっそりと窓掛けを下ろしたまま、何んの物音もしないでいた。そのうち漸っと目をさましたと見え、何か二人でぼそぼそと話し出しているようだ。それを好い機会に、私達は朝の食堂に下りて往った。

*

まだその娘達が姿を見せないうちに、朝の食堂を出て来た私達は、部屋へは帰らずに、そのままぶらっと散歩に出た。ともかくも雨の降り出さないうちに、まあ出来るだけでもその辺を見ておこうと思って、外人部落のきのう往かなかった方へ道をとった。湖岸まで下りて見ると、対岸の斑尾の方はなんとなく薄明るくて、青磁色の空さえところどころ覗いている。こりあうまく往くと、ときどき薄日ぐらいは差すような天気になって呉れるかも知れない。