轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばんきく

晩菊

林 芙美子

「別冊文藝春秋」文藝春秋、1948(昭和23)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,998 字 · 32 页

青空文庫

と小さい声で、茶を呑んでいるきんに尋ねた。きんは吃驚した眼をして、「駄目よ。こんな私をからかわないで下さい」と、眼尻の皺をわざとちぢめるようにして笑った。美しい皓い入れ歯が光る。「いやに冷酷無情だな。もう、一切金の話はしない。一寸、昔のきんさんに甘ったれたンだ。でも、――ここは別世界だものね。君は悪運の強い人だよ。どんな事があったってくたばらないのは偉い。いまの若い女なンか、そりゃアみじめだからね。君、ダンスはしないの?」きんは、ふふんと鼻の奥でわらった。若い女がどうだって云うンだろう……。私の知った事じゃないわ。「ダンスなンて知らないわ。貴方なさるの?」「少しはね」「そう、いい方があるンでしょう? それでお金がいるンじゃないの?」「馬鹿だなア、女にみつぐ程、ぼろい金もうけはしていない」「あら、でも、とても、その身だしなみは紳士じゃないのよ。相当なお仕事でなくちゃ、出来ない芸だわ」「これははったりなンだ。ふところはぴいぴいなンだぜ。七転び八起きもこの頃はあわただしくてね……」きんはふふふとふくみ笑いをして、田部の房々とした黒髪にみとれている。まだ、十分房房として額ぎわにたれている。