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あんごうレコードじけん
暗号音盤事件
海野 十三
「講談雑誌」1942(昭和17)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,583 字 · 24 页
「海を越えて」の音盤!
その音盤をかけながら、音叉をぴーんと弾くと、音楽以外に顕著な信号音が、或る間隔をもって、かーんと飛び出してくるのであった。音叉を停めれば、それは消え、音叉をかければ、その音盤が廻っているかぎり、かーんかーんという音は響く。これこそ、時限暗号というもので、音と音との間隔が、暗号数字になっているのであった。私は白木の傍へとんでいって、手短かにこれを報告した。
「そうか、遂に発見されたか。うん、そいつは素晴らしい。それでこそ、日本人の名をあげることが出来るぞ。じゃそれを持って、早速ずらかろう」
「大丈夫か、外から狙っている奴等の包囲陣を突破することは……」
「なあに、突破しようと思えば、いつでも突破できるのだ。只、君が仕事の終るのを待っていただけだ。かねて逃げ路の研究もしておいたから、安心しろ」
私は白木のことばを聞いて、大安心をした。そして早速宝物の音盤と、謎を解く音叉を、紙に包んだ。
「さあ、こっちへ来い」
白木は、にっこり笑いながら、悠容とせまらない態度でいった。そして私の腕をひったてると、隠し扉を開いて、さあ先に入れと、合図をした。