轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
と叫んで私の背後を見た。私も振り返って見たが「アッ」と驚いた。正面向って右側の壁にかかった基督殉難の図が扉のようにギイと開いて、最新式の小型な白金カバー式ランプを提げた志免警部が飛び降りて来た。そのあとから三人の刑事が次々に飛び降りてしまうと、後は又ギイと閉まって旧の通りになった。……私は開いた口が閉がらなかった。こんな教会にこんな仕掛がしてあろうとは夢にも思わなかった。やはりこの家は独探の家だったのだな……と思った。
けれども志免警部と三人の刑事は私よりももっと失望したらしく、先程の元気はどこへやら、屠所の羊ともいうべき姿で、私の前に来て思い思いにうなだれた。
「一体どうしたのだ」
と私は急に昂奮しながら問うた。
「はい迅うに逃げていたのです。居たのなら逃げようがありません。一方口ですから」
「麹町署に頼まなかったのか……見張りを……」
「頼んだのです。ところがあの教会なら怪しい事はない。志村のぶ子という別嬪の旧教信者が居て熱心に布教しているだけだと、下らないところで頑張るのです」
「僕の名前で命令したのか」
「貴方のお名前でも駄目です。古参の警視で威張っているんです」