轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页

青空文庫

私は改札口に来て係りの女にちょっと用足しに出たいからと云ったら、女は返事をしないで直ぐ傍に腰をかけて、切符を勘定している小柄な、痩せこけた西洋人を見上げた。その男の耳は、よく進化論や遺伝学の書物の挿し絵に出て来るつんと尖んがった動物耳で、見るからに無鉄砲な、冷血な性格をあらわしていたが、その恐ろしく高い鼻の左右から、青い眼をギョロギョロさして私を見ると、黙って……よろしい……という風に頷いたまま、又一心に切符を勘定し初めた。その時にそこいらに立っていた二三人の丁稚風の子供が、その西洋人と絵看板を見比べて、

「スタチオだ……スタチオだ……」

と囁き合ったので、私はモウ一度振り返ってその横顔を記憶に止めると、何かしらヒヤリとしながら、大急ぎで人混みに紛れ込んだ。ちょっと虎口を逃れたような気持ちになって……。

それから大きな天幕張りを故意と遠い方にぐるりとまわって、東京駅の見える裏通りへ来ると、そこには厩があって、凡そ三十頭位の馬が、共進会見たいに繋いであった。カルロ・ナイン嬢の白馬も向って右から七番目に居る。その前二間ばかりの処を、古い亜鉛の低い垣で仕切って「入るべからず」