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ダーク・ミニスター
暗黒公使
夢野 久作
「新作探偵小説全集 全九巻」1933(昭和8)年1月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 页
「そいつが三万円の懸賞を見て気が変になったんじゃねえかと思うんだが……ハハン……」
「そうかも知れねえ。だから馬が共鳴して暴れ出したんだろう……馬い話だってんで……」
「アハハハ……違えねえ」
「ワハハハハハハ……」
「しかし三万円は大きいじゃねえか。たった一人の小僧っ子に……」
「なあに……あれあ広告よ。毛唐はよくあんな事をして人気を呼ぶそうだから……事によると両方狎れ合いでやっているのかも知れねえぜ」
「キチガイ紳士も馴れ合いか」
「序に馬も馴れ合いにしちまえ」
「しかし三万円てえと一寸使えるな。誰か希望者は居ないか」
「カルロ・ナイン嬢なら只でも探しに行かあ」
「初めやがった好色漢野郎!」
「いや真剣に……」
「なお悪いや」
「一体ジョージの野郎は何だって曲馬団を飛び出したんだろう」
「さあ……そいつはわからねえ」
「なあに。ちゃんと判っている。給金の事で団長と喧嘩したんだ」
「イヨ。名探偵。どうして判った」
「芸当がジョージになったからもっと給金をクレイって云ったんだ」
「アハハハハ初まった初まった」
「ふざけるな」
「いやまったく。それで団長が憤ったんだ。そんな金はカルロ・ナインだと」