轻松读懂日语经典作品
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あらしのなか
暴風雨の中
山本 周五郎
「週刊朝日新秋読物号」朝日新聞出版、1952(昭和27)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,339 字 · 30 页
「こんなことをしちゃあいけなかった、この男に罪はねえ、この男は役目で来たんだ、おらあ初めから死ぬつもりだったし、今でも死ぬつもりでいる、だがそれはおれ独りのことだ」
「あたし離れない、あたし三ちゃんから離れやしないわ」
「だめだ、それだけはだめだ」三之助は気絶している男を抱きあげた、「どんなことがあってもおめえを死なせるわけにゃあいかねえ、この男も助けなくっちゃならねえんだ、どうしてもだ、おしげさん」
三之助は男を抱いたまま廊下へ出た。娘はとびかかって叫んだ、泣きながらしがみついた。三之助はするようにさせて、男の躯をいちど手摺へ凭せかけ、自分が屋根(そこはもう殆んど水に浸っていた)へおりると、こんどは肩に担いで、足さぐりに裏のほうへ廻っていった。娘もそのあとからゆこうとして、ふと思い返し、戻って来て、投げだしてある短刀を拾った。そしてすばやく、いま三之助の出た方とは反対の東の端から屋根へおりて、裏へと廻っていった。
「おしげさん」三之助の叫ぶ声がした、「来てくれ、来なくちゃだめだ、おしげさん」
そして裏屋根の方で、瓦を踏み割る音がし、三之助が喚いた。娘の悲鳴も聞えた。