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あけみのうた

曙覧の歌

正岡 子規

「日本」日本新聞社、1899(明治32)年3月22日~24日、26日、28日、30日、4月9日、22日~23日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,667 字 · 26 页

青空文庫

題しらず

雲ならで通はぬ峰の石陰に神世のにほひ吐く草花

歌会の様よめる中に(録五)

人麻呂の御像のまへに机すゑ灯かかげ御酒そなへおく

設け題よみてもてくる歌どもを神の御前にならべもてゆく

ことごとく歌よみいでし顔を見てやをら晩食の折敷ならぶる

汁食とすすめめぐりてとぼしたる火もきえぬべく人突あたる

戸をあけて還る人々雪しろくたまれりといひてわびわびぞ行

初午詣

稲荷坂見あぐる朱の大鳥居ゆり動して人のぼり来る

「設け題」「探り題」「あき米櫃」「饅頭を頬ばる」「笑ひかたりて腹をよる」「畳かず狸のものの広さにて」「二郎太郎三郎」など思うに任せて新語新句をはばかり気もなく使いたるのみならず、「人豆を打つ」「涼しさ広き」「窓をうづめてさく薔薇」などいうがごとく、詩または俳句には用うれど、歌にはいまだ用いざる新句法をも用いたるはその見識の凡ならぬを見るべし。「神代のにほひ吐く草の花」といえる歌は彼の神明的理想を現したるものにて、この種の思想が日本の歌人に乏しかりしは論を竢たず。(曙覧の理想も常にこの極処に触れしにあらず)一般に天然に対する歌人の観察は極めて皮相的にして花は「におう」