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しょについて

書について

高村 光太郎

在线阅读高村 光太郎《書について(しょについて)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,532 字 · 5 页

青空文庫

備わって来て、慾も得もない佳い字を書くようになる。

そういう佳品を目にするのはたのしいものであるが、さればといって、此を伝統の骨格を持ち、鍛冶の効をつんで厳然とした規格の地盤に根を張った逸品の前に持ち出すと、やっぱり免れ難い弱さがあり、浅さがあり、何となく見劣りのするものである。人工から起ったものは何処までも人工の道を究めつくすのが本当であり、それには人工累積の美を突破しなければならないのである。生れながらに筆硯的感覚を持っている人のですらそうであるから、もともとそういう性来を持たない者の強引の書となると多くは俗臭に堕する傾がある。意地ばかりで出来た字、神経ばかりで出来た字、或は又逆に無神経ばかりで出来た字、ぐうたらばかりで出来た字が生れる。世の中にはなかなかそういう書が幅をきかせている。私などもその一人であるが、これではならぬと思ってつとめて天下の劇跡に眼を曝すことにしているのである。

三

書はもとより造型的のものであるから、その根本原理として造型芸術共通の公理を持つ。比例均衡の制約。筆触の生理的心理的統整。布置構造のメカニズム。感覚的意識伝達としての知性的デフォルマシヨン。