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そがのあばれんぼう
曽我の暴れん坊
「キング 第三〇巻第六号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,123 字 · 19 页
祐経を父の仇と剣の稽古に励んでいるなぞと人の口の端に上るようになれば、こんどこそ命がない。
「おそろしい子供……」
兄の一万は学問好きで柔和だが、弟の箱王は無類の暴れん坊。手がつけられない。うっかりすると、この子のために再び鎌倉へ召し出されるハメになり、兄の一万も義父の曾我もともに成敗をうけるようなことになりかねない。これはもう坊主にでもしてしまうのが何よりと考えたから、箱根の別当へ預け、ゆくゆくは坊主にすることにした。
ここには二十何人も坊主がいる。箱王、朝の勤めがすむと山へもぐりこんで一日中戻らない。この箱王という子供は肉が無性に好きなのである。オカユとナッパというような坊主の食物が我慢ができない。手製の弓矢をつくり、鳥獣をとらえて食い、山の石を押し倒して力を鍛えたり、木立を相手に立廻りの稽古に没頭したり、日が暮れるまで山で遊んでいる。先輩の坊主にこの乱行を見届けられて、
「キサマ、坊主の身でありながら、鳥獣を殺して食うとは何事だ」
「イエ、ありがたい経文を唱え、引導をわたして食べますから、成仏ができてありがたいと云って鳥獣がオナカの中で手をついて礼をのべております」