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もっともたのしいじぎょう
最も楽しい事業
羽仁 もと子
「家庭教育篇 上巻 巻頭の言葉」1928(昭和3)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,677 字 · 4 页
人の世になによりも楽しいものは仕事である。張り合いのあるものは仕事である。もしも私たちにすることが与えられてなかったら、毎日どんなにつまらないものだろう。
田園の人は、きょう耕した畑に、あすは種子をまこうと思って楽しく眠る。織りかけている機は、あすは終わるであろうと、ある人は待ちのぞむ。市の人は朝はやく起きて店を飾り、またある人々は足を早めて、事務所に工場にいそぐ。緑の畑が麦を産し、涼しい青田が米になる。われらの労作は楽しいものである。
そうしてその楽しい仕事のなかでも、多くの愛らしい赤ん坊が、よい子供に、よいおとなに育ってゆこうとする仕事を、手伝ってやる仕事ほど、楽しい仕事はないだろう。自分の手のなかにある赤ん坊ばかりでなく、わが子、他人の子、世界中の揺籃を考えてみよう。そこに人生の涼しい青田がある。私たちはその農夫である。なんという大きな事業であろう。なんという楽しい仕事であろう。
そこに虫の害があるではないか、旱魃があるではないか、洪水があるではないか、大風があるではないかとある人はいうだろう。自然を相手の仕事は、一面じつに正直であり、一面じつに冒険である。