轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つきかげ
月かげ
豊島 与志雄
「婦人公論」1924(大正13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,867 字 · 14 页
」
返事につまって、黙って彼の顔を見ると、彼は額に少し汗をにじませながら、やはり黙って私の顔を見返した。
変な白けきった沈黙が続いた。私はやけに杯を取上げて、立続けに飲んだ。
「君が先にジャンケンを持ち出したんでしょう。」
「ええ。」と彼はもうきょとんとした顔付で答えた。「実は一寸占ってみたんです。」
「占いですって、何の……。」
彼は先程の勝負のことなんか忘れてしまったかのように、にこにこ笑い出しながら云った。
「この人達の中で、ひょっとしたことから、私と結婚でもするようになる人があるとしたら、どの人がそれかと思って、ジャンケンで占ってみたんですよ。」
真面目なのか冗談なのか見当がつかなくて、私は一寸挨拶に困った。するうちに彼は、ひとりでに饒舌り出した。
「世の中には、運命とか天の配剤とか、そういったものが確かにありますよ。私はそれが始終気にかかって、何かで占ってみなければいられないんです。例えば、友人を訪問する時なんか、向うから来る電車の番号をみて、奇数だったら家にいるとか、偶数だったらいないとか、そういう占いをしてみますが、それが不思議によくあたるんです。