轻松读懂日语经典作品
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つきかげ
月かげ
豊島 与志雄
「婦人公論」1924(大正13)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,867 字 · 14 页
球を撞いてる時だってそうです。初棒に取る数が偶数か奇数かで、そのゲームの勝負が分るんです。朝起きて時計の針を見ると、その針のある場所で、一日の運勢が分るんです。そんな風にいつでも、何をするにも、前以て何かで占わずにはいられないんです。電車の番号、電信柱の数、どこそこまでの足数、時計の針、出っくわす男女の別、何でだって占えるんです。」
「そして本当にあたるんですか。」
「奇体にあたりますよ。」
私はふと先刻からのことを思い出して、可笑しくなってきた。
「おい光ちゃん、大変だよ。占いは最初の一番だけだから、この人が僕とのジャンケンに勝ったし、君は皆とのジャンケンに勝ったんだから、君達二人は結婚することになりそうだね。」
「あら嫌だ、そんなこと。」
くるりと向うを向いて怒った風をしたが、肩がぴくりとして、放笑してしまった。それで皆も笑い出した。彼もただにやにや笑っていた。
所が、その皆の笑が沈まって、一寸沈黙が落ちてきた時、妙なことが起った。その夜更に、皆一つの卓子に集って、がらんとした中に白々と電燈がともってる、その閉め切った広い室の、窓の一つががたんと開いて、冷たい影が――空気が、すーっと流れ込んできた。