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ぼうがくととうきょう
望岳都東京
木暮 理太郎
「霧の旅」1934(昭和9)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,243 字 · 61 页
慶長三年四月八日の条に次のような記事がある。
一、浅間山へ参詣衆八百人程焼死云々。
昨日大小ノ違ニテ、不縁日ノ由山巓ニテ呼ト云ヘトモ、只人間ノ所謂也ト心得不用之、参詣ノ処如此。
当時富士山が噴火したという記録はないようであるが、之に反して浅間山は二、三年来盛に活動していたらしい証拠がある。『天寛日記』にも
慶長二年三月朔日浅間山噴火
慶長四年二月廿日浅間山鳴動
などの記事があり、其他『当代記』、『慶長年録』等にも同様の記事が見えているから、浅間山へ参詣衆とあるのは富士の浅間神社へ参詣したのではなく、上信界の浅間山へ登山したものと見て差支ないようである。之等から推しても我国の登山の歴史は可なり古くから始まっていることが知られる。
浅間の北には長大な四阿山が大魚の背を浮べたように横たわる。碓氷峠から北に続く連脈は、一之字山、網張山、鼻曲山、八栗山の剣ヶ峰、角落山となって四阿山脈の下に紛糾している。殊に三段鼻の形をした鼻曲山は、雪の白い四阿山の直下に藍色の影となってへばり付いているので、識別するのに困難であるが、白い雪の山が隠れると、急に鼻を尖らしてのさばり出す。