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あさのはなし

朝の話

宮本 百合子

NHKラジオの原稿、1946(昭和21)年9月13日放送

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,438 字 · 5 页

青空文庫

一、今年は珍しく豊年の秋ということで、粉ばかりの食卓にも一すじの明るさがあります。

一、けさも又早い時間にお話をすることになりました。が、この時間の放送に何か理屈っぽい、云ってみれば教養めいたお話をするということがいつもそぐわなく感じられます。

一、どんな方でも、朝おきてさてこれから一日の活動にとりかかろうと、その気持で食卓にも向い身じたくもととのえるとき、其々御自分として何か一日の計画をもたない方があるでしょうか。

一日の計は朝にあり、と世界中で云いふるされています。

一、そうだとすれば、あらゆる方々が御自分の一日の計をもって充実した気分を保とうと希んでいらっしゃるとき、わきから思ってもいなかった話を注ぎこまれるというのは愉快なことでしょうか。むしろ、落ついて心持のよい音楽でもきいて活動の準備をしたいと御思いにならないでしょうか。

一、ところで、いま、みなさまのお心にはどんなお考えがあるでしょう。実に様々であろうと思います。

一、きょうは一つ本を買おう一つ靴みがきをさせようそう思っている方もあればきょうは一つカミソリの刃を買わなければならないと思っている方もあり、きょうこそ一つあの話をものにして、と事業のことを考えている方もあるでしょう。