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きのめだち
木の芽だち
宮本 百合子
地方文化発展の意義
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,941 字 · 10 页
これは彼の気骨を物語っている。その反面に、明治が、その現実において、どんなにまで封建的であり、身分の観念と結びついた官僚主義が横行していたかを語っているのである。
市民社会を土台としてそこから近代化した日本ではなかった、という一つの事実は、明治以来の日本の文化に、重大な関係をもっている。
日本全国の諸企業が独立独歩出来なくて、中央政府の保護を必要としたという一つのことは、同時に日本中の各都市の独自な発展、経済的能力が乏しかったことを証明している。当然、それらの都市での文化も、決して強い独特な隆盛をもち得なかったのであった。
乏しい故の中央集権が、日本各地方の文化にそれぞれ独特な、ゆたかな展開を可能としなかった上に、一層わるいことは、その状態のまま文化面でも出版業のような利潤追求の企業はどんどん成長して行ったことである。
どんな国でも、都会人口よりは、農村人口が多い。利益を求めるものの本能は、数を重要に見る。従って、儲けるための出版業者は、いつも「地方」を対象におき、そこで売れるためには、決して「地方的水準」を高めようとせず、それに媚び、おもねり、面白がられることを商売の上手とした。