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みいらのみみかざり
木乃伊の耳飾
国枝 史郎
「現代」1924(大正13)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,905 字 · 12 页
四
そして暫時経ってから、
「兎に角もとめて置きましょう。金剛石一つだけ取り外して頸飾にしても立派ですわ」
それで仏蘭西の宝石商は、恭しく夫人に一礼して、邸を退出したのであった。
四
偖、英国の考古学者、ドイルス博士の冒険に依って、世に現われた耳飾の、不思議を尽した物語も「此世の事はすべて正し」と、詩人ブラウニングが咏ったように、全く意外の方面から、すべて正しく解釈された。
全く意外の方面とは、そもそもどっちの方面かというに、警視庁に依って捕縛された、或大賊が自分の口から、止むを得ずもらした一つの罪状! その罪状こそそれである。
その大賊は云うのであった……。
「……そういう訳で金字塔の、曾て知られない秘密の室で、私は莫大な金目を持った耳飾を手には入れましたものの、その耳飾を手に持っていては、ギゼーの町から出ることは出来ず――何故かといいますと、官憲の方で、私、即、宝石泥棒が、ギゼーの町へ入り込んだことを、いつか感付いたと見えまして、町の要所を十重二十重に取り囲んでいたからでございます。それで私は耳飾を、他人の手によって運び出したいものと、窃かに苦心して居りました。