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みぼうじん
未亡人
豊島 与志雄
「諷刺文学」1947(昭和22)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,474 字 · 21 页
あなたの肩は殆んど凝っていませんでした。だが、あなたの体は汗ばんでいましたね。
……炬燵が熱かった……。
ばかな口実を設けてはいけません。あなたの身内がほてっていたからでしょう。それはとにかく、あなたは拙劣でしたよ。ただじっと相手の手を握りしめるなり、或はいきなり相手の首にかじりつくなり、やり方はいくらもあったでしょう。それを、血圧が高そうだとか、肩が凝るようだとか言って、相手の手を懐に引き入れるなんて、ばかばかしいことをしたものですね。
あなたは雀の恋愛をじっと眺めました。さかりのついた猫の鳴き声に耳を傾けました。それならば更に、庭の隅のあの古池でも覗きこむと宜しかったでしょう。あすこでは今頃、蛙どもが必死の恋愛をやってる筈です。蛙といっても、蟇蛙ですよ。あれは面白い奴で、冬の間、土にもぐって冬眠していますが、早春の陽気に眼をさますと、のこのこ地中からはい出してきて、池にはいります。そして充分に食物もとらないうちに、早くも、雌雄一団となって、性行為に耽溺します。互にしがみつき絡まりあって、時折は水面に顔を出してはっと息をつきながら、または水中からかすかな気泡を吐きながら、その僅かな然し根強い生命力を性行為に集中します。