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みぼうじん
未亡人
豊島 与志雄
「諷刺文学」1947(昭和22)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,474 字 · 21 页
これには私も意外でしたよ。然しこの墓参は、ほかに行くところもないし、さりとて何処かへ行かなければならないから、という程度のものであると共に、また、一度思いつけばそれが気持にぴったりときて、あなたの言葉をかりれば、家庭の秩序の一環をなすものでさえありました。
思いつくと同時にあなたはそれにきめて、それからこれは異例なことですが、女中をお伴に連れてゆくことにしましたね。どうしてそんな気になったのか。あなた自身にもよく分らなかったことでしょう。まあ婦人代議士という気分のせいだったでしょうかね。そこで、書生に留守中の注意を与え、離屋に住んでる親戚の一家にも留守を頼んで、あなたは女中を従えて出かけました。
その出しなに、ちょっと邪魔が起りましたね。小川夫人が訪れて来ました。あなたは彼女を奥の室へではなく、応接室に通して、いろいろな表情をしましたよ。
「まあお珍らしい。よくいらして下さいましたわね。しばらくお目にかかりませんので、どうしていらっしゃるかと、こちらからお伺いしようと思っていたところでございますよ。ところが、あいにく、いろいろ忙しかったものですから……。