轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みらいのてんさい
未来の天才
豊島 与志雄
「人間 第三卷七月號」人間社出版部、1921(大正10)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,630 字 · 38 页
そして郵便と云いながら小包を投り込んでやった。すぐ向うではいという返事がした。余りその返事が早かったので、すっかり面喰って飛び出してきたが、お影で格子を閉めるのを忘れちゃった。実際危なかった。冷汗が流れたよ。」
「それから?」と私は尋ねた。
「それからって、それでいいんじゃないか。」
「うむ。」
「おいしっかりしろよ。計画通りにいったからもう心配なことはない。もし変なことになったら、僕が出ていってやる。」
それでも私は心配になってきた。どうしてこんなことをする気になったのか、私には分らなくなった。自分自身が堪らなく馬鹿げて見えた。何か大きな不幸が今にも手を差伸べてきそうだった。こんもりとした木影や深い闇の奥まった処が、しきりに私を脅かした。どこかで祝杯を挙げようと河野が云うのを断って、私は家に帰った。河野は私の家の前まで送って来た。
「心配することはないよ。……兎に角今晩はゆっくり眠り給え、明日また僕は来よう。」
私は河野にしっかり手を握られて、涙ぐんでしまった。その涙を押し隠すようにして家にはいった。
私はお上さんに挨拶もしないで二階に上った。すぐ床を敷いて寝た。