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みかいなふうけい
未開な風景
宮本 百合子
「婦人公論」1927(昭和2)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,478 字 · 16 页
ふと語調をかえ、お清はおかしい秘密話でも打ちあけるように云いつづけた。
「こないだあの人の家へ行った時ね、話さなかったけれど、親父さんなんかいやしなかったんだよ、いやじゃあないの。あんなに、親父さんが会いたいって云うって招んどきながらねえ。私が帰るまで影も見せやしない。だから私云ってやったんだよ、油井さん、見かけによらないんですねって。さすがに何か云い訳してたけど……」
その日、お清はみのえを連れて油井の家へ行った。油井のところからみのえだけ母親の代理に一人浜町へやられた。叔母と向い合っている間じゅう、叔母の眼鼻だちのすき間に油井の二階に坐ってこっち向いている母親の姿がちらちらして、みのえは自分で何を喋っているのか分らなかった。その気持が母親の話でみのえの記憶に甦った。彼女は、その感情を心にかみしめながら、
「そいでどうしたのよ」
と云った。
「どうもしやしないけどね……でも変さねえ私がひとり者だったらどうしたって結婚するだの、どこかへ出かけようだのって――あの日芝居へ行こうってきかなかったんだよ」
「ふうん」
浜町へ行きたがらないでじぶくっていたみのえに、