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すえっこ

末っ子

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页

青空文庫

と注を加えたため、みんなが笑いだしたということであった。

「しゃれてるじゃありませんか」と助三郎は喉で笑った、「みんなにはわからないんだな、新庄さんはなかなか茶人ですよ、そう思いませんか」

平五はその帰りに榎坂へまわった。米良平左衛門もそのとおりだと云った。

「とぼけているのか本気なのかよくわからないがね、おそらくとぼけているんだろうと思うが」

「あの叔父にとぼけるなんて芸ができるもんですか」と云って平五は溜息をつき、首を左右に振った、「しようのない人だ」

「そうだ、話は違うが、一つ聞いておきたいことがある」と米良は顔をあげて云った、「くにから聞いたんだが、平さんの預ける金が、かぞえてみたら二十両を越したというんだがね」

「ええ、八十三分になった筈です」

「なんだい八十三分とは」

「両なんていうと角が立つから、すべて分でかぞえることにしているんです、しかしそれがどうしたんですか」

「へえ」と米良が云った、「両なんていうと角が立つかね」

「なにしろ部屋住の身の上ですからね」

「それなんだ、その部屋住の平さんが、三両や五両ならともかく、二、いや八十三分という金を溜めたとなると、預かっているこっちの責任も重くなる、どういう性質の金かということをいちおう聞いておきたいと思うんだ」