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すえっこ
末っ子
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页
と玄蕃はふるえながら続けた、「主殿の話によると、きさまは二束三文の偽物を買って、おれたちぜんたいを嘲弄するつもりだったという、――もうがまんが切れた、こんなやつはおれの子ではない、こんな人間をうちに置いては小出の家名に傷がつく、一族ぜんたいの名折れだ、たったいま出てゆけ、勘当だ」
「わかりました」と平五が云った、彼は蒼くなっていたが、言葉も態度もはっきりとおちついていた、「勘当と仰しゃるなら出てゆきます、いや、お母さんは黙っていて下さい、出てゆくまえに一と言だけ云いたいことがあるんです」
「なにを、きさまの云うことなど」
「一と言だけです、聞くのが恐ろしくなかったら聞いて下さい」と平五が云った、「私は父上の仰しゃったとおりのことをしました、饅頭から古道具屋のことまで、だいたいすべて本当です、しかしどうして私がそんなことをしたのか、いちどでも考えて下すったことがありますか」
「きさまに武士の誇りがなく、侍だましいがなかったからだ」
「それだけですか」
「きさまが町人根性で、古道具屋などが性に合っていたからだ」と玄蕃が云った、「いまになればどんな理由を付けることもできるだろう、しかしよく聞け、きさまがもし正当なことをしたのなら、決して弁解などはしない筈だぞ」