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すえっこ

末っ子

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1957(昭和32)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,564 字 · 55 页

青空文庫

十一 彼に対する米良の評

平五にはそれで充分であった。彼はすばやく道の左右へ眼をやり、(暗い堀端の道には人の影もなかった)それからみののそばへ寄って、彼女の肩に手をかけた。

「私は忍耐にかけては自信があります」と平五は云った、「私の父は貴女のおかあさまよりもっと頑固のわからずやでしたが、とにかく二十四の今日まで私は辛抱しましたからね、わかりますか」

みのは嗚咽しながら頷いた。

「道具屋でもいいでしょうね」と平五が云った。

みのはまた頷いた。彼は娘を抱きしめたい衝動に駆られた。彼の手の下で、娘の肩はあまりに弱よわしく、小さく、そして柔らかであり、彼はその肩を静かに押しやった。

「清鑑堂がお役に立つでしょう、もう帰って下さい」と平五は云った、「どうかおかあさまをお大事に」

十一 彼に対する米良の評

米良平左衛門は云った。

「依田の婿になるより、平五はやっぱりあのほうがよかったようだな、細江の妻女が亡くなるまでに三年か、あしかけ四年がかりで結婚したわけだが、そのあいだにしょうばいの手掛りもつき、店もちゃんと持つことができたんだから、却って結果としてはよかったと云ってもいいだろう、よく辛抱したものだ、つまり好きなみちだったからだろう、なにしろ饅頭からはじまっているんだからな、そう、『平五』