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むらからのむすめ
村からの娘
宮本 百合子
「文化集団」1935(昭和10)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,485 字 · 9 页
来年も凶作があるかないかを予測するため、海へ船を出して天候を観測したりしている記事が大きい見出しに写真つきで華やかに新聞に出たが、あの報告で今年の秋を、みのりの秋と楽しく期待出来た人間は恐らく一人もなかったであろうと思う。東北地方の飢饉は、二三年前からのことで、問題は天候ばかりにはないことが既に誰にでも理解されている。同じ空の下でも、地主の田圃の稲の穂は実の重さで垂れたのである。
秋田の方の故郷で暮している鈴木清というプロレタリア作家の『進歩』に発表された通信は、東京の愛国婦人会や何かが、まるで農民が道徳をさえわきまえぬ者で娘を売るように口やかましくほんの一部の身売り防止事業などに世人の注意をあつめ、窮乏の真の原因とその徹底した打開策とを大衆の目から逸らさせようとしていることに立腹を示したものであった。
鈴木さんばかりがそう思うのではない。私はその文章をよんだ時はっきりそう思った。私たち皆そこまで現実を見ているし、地方の人は猶更はっきりそのことを思っているにちがいないのである。
この頃真理運動ということを云い出して、都下の中途半端な学生などの間に或る人気をあつめはじめている友松円諦という坊さんは、文芸春秋の新年号に「凶作地の人々に与う」