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むらへかえったしょうへい

村へ帰った傷兵

小川 未明

「日本の子供」1940(昭和15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,124 字 · 9 页

青空文庫

二

彼が、顔を赤くしてたおれまいとしたとき、

「兵隊さん、ここへおかけなさい。」という子供の声が、きこえました。見ると混雑した人をわけて立ち上がったのは、八、九歳ばかりのランドセルを負った二人の小学生でありました。

「やあ、ありがとうございます。」と、清作さんは、救われたような気がして、そこへ腰を下ろしました。そして、はじめて二人の子供を見ると、子供は、なにかいいたげに、清らかな瞳を人々の間から、こちらへむけているのでした。

「ああ、子供はいいな。」と、清作さんは、真に感動しました。

二

その晩のことでした。清作さんは、故郷へ帰る汽車の中にいたのであります。彼は、眠ろうとしても眠られず昼間のことなど思い出していました。

「そうだ。村の源吉さんもシベリア戦役にいって、片腕をもがれたのだった。あの時分、自分はまだ子供だったので、源吉さんが不具になって帰ってくると、おそろしがったものだ。自分ばかりでなく、ほかの子供たちも気味悪がってそばへいかなかったのだ。それにくらべると、このごろの子供は、なんというりこうで、やさしいことだろう。源吉さんは、みんなのため、戦争にいってきながら、寂しく、かわいそうだった。