轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

むらいちょうあんないれのからかさ

村井長庵記名の傘

国枝 史郎

「ポケット」1925(大正14)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,794 字 · 16 页

青空文庫

暗い夜道を附かず離れず、二人の男は歩いて行く。赤羽を過ぎて三田の三角、札の辻へかかるころから、後の男は足を早めたが、気が付いたように立ち止まると、下駄を脱いで、手拭いで包み、グイと懐中へ捻じ込んだ手で、衣裳の裾の高端折り、夜眼にも著るくヌッと出る脛を、虻が集かったかバンと打ち、掌を返すと顎を擦り、じーっと行手を隙かして見たが、ブッツリ切ったは刀の鯉口、故意と高い足音を立て、十兵衛を先へ追い越そうとする。その足音に気が付いて、振り返った十兵衛の左側を影のように素早く走り抜けたが、小手をハラリと振ったのは提燈の燈を消すためである。

「あ、いけねえ燈が消えたあ」

十兵衛が思わず叫んだとたん、グルリ身を返した村井長庵、言葉も掛けず抜き打ちに斬り付けたのが右手に当り、十兵衛の片腕がブラリと下る。

「あれマア腕が……」と云うところをザックリまたも斬り付ける。冠った菅笠を切り割って頭の鉢へ刃が止まる。

颯と血潮が飛んだであろうが闇夜のことで解らない。

置き捨られた駕籠の主

「ワ――ッ」と云って尻餅をつく。

止まった刀を手許へ引き、一間あまり飛び退ると、長庵は刀を背後へ廻した。