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とうきょうようさい

東京要塞

海野 十三

「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页

青空文庫

「おい、大丈夫かい。間違いはなかろうね」

と婆さんは、眼をぎょろりと光らせて五郎造と帆村探偵とを睨んだ。

帆村は、頭を掻きながらぺこぺこ頭を下げた。いかにも職人らしい風を装って。

ようやく婆さんの信用をかちえて、一行は歩きだした。やがて着いたところは、ごみごみした横丁にあるバラック建ての婆さんの家だった。その中に入ってゆくと、土間伝いに裏に抜けるようになっている。そこにまた一つの潜り戸があって、それを婆さんが開けてくれた。

そこを潜ると、黴くさい真暗な倉庫の中に出る。妙なところへ連れこまれたなあと思っているうちに眼が暗になれてくる。するとこのだだっ広い倉庫の中に、牛乳を搬ぶのに使うような一台の箱型トラックが置いてあるのに気がついた。

すると何処からともなく人が出てきて、この運転台に乗った。別の人が、ぱっと五燭の電灯をつけた。その人は妙な形の頭巾をもっていて、それを五郎造の率いる一行の一人一人の頭の上からすぽりと被せた。

帆村もとうとうこの頭巾を被せられてしまった。息のつまるような厚い布で出来た嚢だ。頸のところでバンドを締め、御丁寧にがちゃんと錠がかかった。