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とうきょうようさい
東京要塞
海野 十三
「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页
こうして置けば、いくら頭巾を脱ごうとしても脱げない道理だった。
それが済むと、帆村たちは箱型トラックの中に手を執って入れられた。扉がぴちんとしまって、中から鍵がかかる。誰か一人、傭主の側の番人が乗りこんでゆくらしい。誰も物を云う者がない。
そのうちに、倉庫の戸がぎいぎいと開く音が聞え、それとともにトラックは徐々に動きだした。いよいよ秘密の場所への旅行が始まったわけであった。
ごとんごとんと揺られながら、帆村はトラックの通りゆく道筋を、一生懸命に暗記しようとつとめた。
右か左かへ曲ると、慣性の理によって、どっちかへ身体がぐぐっと圧されるので、それとわかった。
狭い道では、車はごとごととしきりに揺れたし、広い道へ出ると、すうすうと滑るように走った。
しかし運転手は非常に気をつけているようで、しばらくゆくとスピードが殆んど一定となり、道を曲ることさえなくなった。もちろん十字路のストップは一度も喰わなかった。なんだか郊外の方へ一本道にずんずんと進んでゆくように感ぜられたが、そのうちに数台の消防自動車のサイレンが喧しく街を走っているのが聞えたので、ここはやはり東京市内だなと思った。