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とうきょうようさい

東京要塞

海野 十三

「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页

青空文庫

そしてすっかり救命者になって、酔漢を助けながら、のそのそと堀から上ってきた。二人とも泥まみれの濡れ鼠であった。

「おーい、しっかりしろ。どうしたんだ。傷は浅いぞ。いまどこかの病院へつれてってやるからな」

と、しきりに介抱をするのであった。

堀の中に抛りこんだり、それからまた自分も濡れ鼠になって堀のなかに飛びこんだり、実に御丁寧千万なことだった。

奇怪なのは警官隊の態度だった。映画撮影を見物しているわけでもあるまいし、この暴行を眼の前に見ながら、知らん顔をしているのであった。

折から一台の空円タクが、スピードをゆるめてこの横丁に入ってきた。

「おい、運転手さん、ちょっと手を貸してくれないか」

半纏着の男は手をあげて叫んだ。

「おう、どうしたどうした」

「いや、酔払いが、この堀の中に落っこって、もうすこしで土左衛門になるところだったよ。だいぶ傷をしているらしいから、その辺の病院まで搬んでくれないか」

「うん、よしきた」

円タクは、濡れ鼠の二人を吸いこむと、そのまま明石町の方へ走り去った。

すると、軒端に隠れていた警官隊がぞろぞろと出て来た。

「やあ、どうも御苦労さま。