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とうきょうようさい

東京要塞

海野 十三

「サンデー毎日」毎日新聞社、1938(昭和13)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,341 字 · 37 页

青空文庫

署へかえって、熱いものでも一杯喰べようじゃないか」

「じっとしていたんで、風を引いてしまったよ。はっくしょい」

警官隊は、ぞろぞろと引上げていった。どこまでも奇妙な築地夜話であった。

秘密工事

「わしんとこの吉が御厄介になっとりますそうで、――」

と、シンプソン病院の受付に、真青になってとびこんで来た五十がらみの請負師らしい男があった。

「誰方でございますか」

と、肉づきのいい看護婦が、憎いほど落ちつき払って聞いた。

「えっ」と五十男は気をのまれた形であったが、「わしは土木工事の請負をやっている熊谷五郎造です。うちの若い者の吉――というと本名は原口吉治てえんですが、どこかで怪我をして、誰方やらに助けてもらって、こっちに御厄介になっていると聞きましたが……」

すると看護婦は、軽くうなずいて、

「どうぞお上り下さいまし」

といった。

原口吉治は、ベッドの上にうんうん唸っていた。

親方の声を聞くと、さすがにちょっと唸り声をやめたが、しばらくすると、またたまらなくなって前よりひどく唸りだした。

「どうしたんだ、吉。だからあれくらい云っといたじゃねえか。酒を呑みあるいちゃいけない。