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ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ

東山時代における一縉紳の生活

原 勝郎

「藝文」京都大学文学部、1917(大正6)年8月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,142 字 · 134 页

青空文庫

秘蔵の『神皇正統記』をも、望むに任せて宗祇に与えた。宗祇の依頼に応じて、彼の連歌集なる『老葉』を清書してやった。同じく依頼によって「桐壺」の巻を書写せる際などは、その出来上らんとした日に、禁裏から召されたけれども、実隆は所労を申し立てて不参し、もって書写の功を終えたのである。その他宗祇のために、あるいは『源氏』五十四帖の外題を認め、『新古今』、『後拾遺』、『伊勢物語』等の銘を書し、またしばしば扇面に書し与えた。扇面は、時として実隆の方から旅行の餞別に出したこともあるが、多くは宗祇の所望によったものである。中には大晦日に頼まれて、即座に書いてやったこともある。色紙を三十六枚所望されてこれを書いたこともある。かくいえば頼む方もずいぶん無遠慮なやり方と称すべきで、書いてもらった扇子や色紙を、宗祇の方でいかに処分したかというに、無論自分の翫賞のためのみではなく、人に頼まれた分もあろうし、また中にはそれでもって宗祇が自分の義理をすませたことも多かろう。大晦日に頼みに来た節などは、さすがに実隆も不平であったと見えて、その日記に「※劇中の無心といえども、染筆してこれを遣わす」