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ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ

東山時代における一縉紳の生活

原 勝郎

「藝文」京都大学文学部、1917(大正6)年8月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,142 字 · 134 页

青空文庫

隋はともかくとしても、唐にいたっては、その文明が支那においてすら行き詰まるほど発達してしまった時である。かくのごとき高度に達した一種の文明は、これをいっそう進歩した国に移植したとて格別の累をばなさず、かえって進歩を助けるのであるけれども、これをはるかに彼に劣った当時の日本に移植したのであるからして、日本でもいくばくもなく行き詰まるべき運命を持っていたのだ。日本は幸いにして、これを齟嚼するのに反芻作用をもってしたので、はなはだしい害をば受けずにすんだのであるけれども、もしそれがなかったならば、日本も朝鮮のようになったにきまっている。だいたいにおいては一旦行き詰まりかけたに相違ないのである。しかしてこの行き詰まりを切り開いたのはすなわち鎌倉幕府の建設である。いわゆる窮してまさに通ぜんとしたものだ。それが十分に通じかね転じかねたのは、輸入された方があまりに優勢であったからであって、たとえてみれば一河まさに氾濫せんとし、幸いに支流の注入によってしばらく流路を転ぜんとする勢いを示すも、原流のあまりに水勢強きがために、ついに大いに流路を転ずることあたわずして終るがごときものである。