轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まつかぜのもん

松風の門

山本 周五郎

「現代」大日本雄辯會講談社、1940(昭和15)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,862 字 · 26 页

青空文庫

「なるほど、だいぶ変ったようだな」宗利は苦笑しながら聞いていたが、「だが、今日はどうして一緒に出て来なかったのだ」

「はあそれが……」角之進はちょっと口籠ったが、「実は八月はじめに家を出たまま、何処へいったものやら行方知れずでございます」

「行方が知れぬ、それはどうした訳だ」

「どう致しましたことか、ある日ふらりと出たまま、まるで音沙汰がございません、国越えをしたのでないことは番所を調べて分りましたし、家の者たちが手分けをして捜し廻ったのですが、どうしても所在が知れないのでございます」

八月はじめと云えば、宗利が領主として初めて帰国することが発表された時分である、さっきから面白半分に話を聞いていた宗利は、その事に気づくと不意に心をうたれた。――もしかすると、片眼盲いた自分に会うことが辛くて身を隠したのではないか。それはあり得ないことではない、過失ではあっても主君の眼を失眼させたのだ。あのときは少年だったし、間もなく遠く相別れたからよかったが、改めて眼の前に盲いた主君を迎えるとなると辛いことに違いない。

「国越えをして居らぬというのが慥ならば」宗利は面謁を終ったときに云った、「直ぐに必要なだけの人数と手配をして捜し出すがよい、例え無役であろうと届けも出さずに家を明けておるというのは不都合だ、一日も早く捜し出してまいれ