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こたんのふうかくをはいす
枯淡の風格を排す
「作品 第六巻第五号」1935(昭和10)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,411 字 · 15 页
むしろ告白のねばり強さ、真剣さが足りないと思うのである。否、量的に足りないのではなく、本質的に不足していると思われるのだ。
「またしても羞恥心の乏しい自分をそこに浚けだしてしまつた。」
人々の面前で女を詰ったあとで、氏はただ一行だけこう附け加えている。いかにも自分の汚さを良く知っているという風で、そんなことを隠す気持も、飾る気持も、偽る気持もないのだという悟りきった書き方である。これだけを告白してしまえば、あとには微塵も汚いものは残っていないというように見える。徳田氏の心事果して此の如く淡白なりや否や、まことに疑わしいものがある。
徒然に悩んでいるところへ甥がきてすすめるままに、東京の情人へ電話をかけて呼び寄せる件りを次のように書いてある。
「あの人をお呼びになつたら何うですか」
「いや、今度は見舞に来たんだから。この町をしきりに見たがつてはゐたけれど……」
「それでは呼んだら可いでせう。又といふ機会もないでせうから」
融はさういふ時、ちよつと我慢のできない性分なので、つひ長距離を申し込んでしまつたが、一と話してゐると間もなく鈴が鳴つて、立つて行つて受話機を耳にして「もし/\」