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かきのきのあるいえ

柿の木のある家

壺井 栄

「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页

青空文庫

おかあさんの肥立ちはよく、赤ん坊も普通よりは小さいながら、それでもまるまるとふとっていました。赤ん坊は自分たちのためにお客をして、みんなが喜んでいるとも知らず、一人が泣き出すと、まるで、まねをするようにまた片方も泣き出し、一人が眠り出すと、も一人もまた眠りました。赤ん坊はこちらへ頭をむけて、ならんでねかされています。新之助のふとんは三太郎おばさんが大急ぎでつくってきたもので、男の子らしい柄でしたが、日出海の方のは、生れる前からつくってあったもので、赤い花もようの、まるで女の子のような柄です。新之助のふとんを運んできたとき、三太郎おじさんは、いきおいこんだ調子で、

「うちのむすこのふとんを持ってきたよ。」

といいました。赤ん坊の顔をのぞきこんでは、しきりに見くらべていた洋一は、急に立ちあがったと思うと、

「だめだあ。」

と、むきになっておじさんにむしゃぶりついてゆきました。そして、みんなが笑い出すと、こんどはおじさんのもってきたその小さなふとんをかかえて、表へなげ出そうとしました。

「やらないよ、やらないよ。」

洋一は泣きそうになっていいました。

「洋ちゃん、うそよ、うそよ。