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かきのきのあるいえ
柿の木のある家
壺井 栄
「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页
「青いから、あーおい。」
「ちがうよ、まだうれんからだよ。」
「ちがいませんよ、もう赤い実も、あーるよ。」
「そんなら、葉っぱだって、赤いのがあーるよ。」
二人はむちゅうになって柿の木を見上げています。おじいさんの命をちぢめてまで、実をつけさせた柿の木は、しかし二人の目にはなんとなく、いつもとちがったものに見えました。実が小さいのです。木全体の姿も、どことなく、いつもとちがっています。そこへやってきた三太郎おじさんをつかまえて、洋一は心配そうにいいました。
「おじさん、今年の柿、小さいね。」
「ふむ。」
おじさんは一しょに柿の木を見あげていましたが、
「なるほどな。もう年よりだからな。」
といいました。
「いやだな。」
洋一がさもいやそうにいうと、
「いいじゃないか、これはおじいさんの兄弟だったんだから。洋一のもあるんだろ。」
元気づけるように、おじさんはいいました。
「あるにはあるけどもさ、まだ実が五つぐらいしかならないもん。」
「あたり前さ、はじめからたくさんはならんよ。桃栗三年柿八年といってな、何でも約束があるんだよ。この木が年よりになったのも約束さ。人間と同じだ。