轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎春生『桜島・日の果て・幻化』。同一底本的分册已合并为一书。收入:桜島、日の果て、幻化、風宴。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 页
そして激しく口早に言った。
「射殺して来い。おれの命令だ」
朝の薄い光が窓から斜めに隊長の頭に落ちていたが、近頃めっきり白さの増した頭髪やまた形相の衰えが、蝋燭の火影の中で隈をつくり、かえって険悪な表情に見えた。そのまま隊長の視線はすがるように彼をとらえて離さなかった。心の底でたじろぐものがあって、彼は思わず足を引いた。長靴の裏に食い込んだ礫が堅い床木に摺れて厭なおとを立てた。掌で洋袴をしきりにこすり、彼は全身の重心を片足の踵にかけていた。火影の乱れが彼の表情を不安定なものに見せたが、やがてうすぼんやりした笑いが彼の頬に突然浮んで消えた。そして両踵をつけ胸をやや反らし何か言おうとしたが、その前に隊長は眼をしばたたきながら重々しく、むしろいたわるような口調で彼に言った。
「誰か、射撃のうまい下士官を一人連れて行け」
ふと顔を光から背けて視線を下方に落した。「花田は、射撃の達人だったな」
うつむいた隊長の髪の薄い顱頂を見守りながら、彼はふっと涙が流れそうな衝動を感じたが、それを押し切るように首をあげ、彼は確かな声音で一語一語復唱した。
「私は、花田中尉に会い、射殺します」