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もりのいしまつ

森の石松

山中 貞雄

「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页

青空文庫

S=離れ

混乱。

「殴り込みだッ」

S=階段の処

折り重って転がり落ちる児分共。

次郎長、吉兵衛、等々。

S=庭

「清水の御貸元、裏口がこっちにあります」

「そうか、有難てえ」

石松、次郎長を庭の彼方の裏口へ案内する。

S=茶店内部

夜更けて――

表戸を開けて七五郎のお袋のお勘婆さんが顔を出す。

炉を囲んで源兵衛とお静。

「今晩は」

「あら、おばさん」

お静、立って戸口へ行く。

お勘、

「うちの七五郎、若しやお前さん処へ来てやしないかと思ってね」

「まあ七五郎さんもまだなの。うちの兄さんもまだ帰って来ないのよ」

「一緒だよ、きっと」

「此頃毎晩でしょう」

源兵衛が炉の処で、

「お勘さん、まあお這入り」

「おや源兵衛さん? 今晩は……まだ、起きて居たのかい?」

「石松の奴が今に帰るかと思って……」

「そうかい……妾もね、あんな親不孝な伜だけれど、今夜の様に何時までも帰りが遅いと、つい心配になってね」

「おばさん、まあお這入ンなさいよ」

「有難う。いえね、ひょっと妾と入れ違いに帰って居るかも知れないから」

「妾もう失礼しますよ、源兵衛さん、御邪魔しました」