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もりのいしまつ

森の石松

山中 貞雄

「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页

青空文庫

「失礼だが、若しやお前さん武井の安五郎さんの身内で神沢の小五郎さんとは仰しゃいませんか?」

「へえ、儂は小五郎だが、そう言うお前さんは誰方で?」

「俺ァ駿河の国は有度郡清水港の長五郎だ」

次郎長の背後の二人が名乗る。

「俺ァ清水一家の桝川屋仙右衛門」

「俺ァ法印の大五郎だ」

次郎長が、

「小五郎、手前よくも俺の身内の佐太郎を殺して逃げやがったな?」

「冗談言っちゃいけねえ清水の御貸元、それァ何かの間違いだ、俺ァ人殺しなンぞした事がねえ」

「何を言やがるんだ、言い逃れは聞かねえ、立派に証人があるんだ、小五郎ッ覚悟を決めて仕度しろッ」

小五郎、突然斬って来る。次郎長も抜く。

茶店の親爺の源兵衛と娘のお静、驚く。

床几がひっくりかえる。

土瓶や湯呑がとんで来る。

「危ないッ、お静やッ」

「おとっつあん」

お静、奥へ駈け込んだ。

S=茶店の

奥の部屋で息子の石松が寝て居る。

「兄さん、兄さん、大変ッ大変よ」

と表からお静、駈け込んだ。

「あら、まだ寝てンのね、兄さん起きてよ」

石松、むにゃむにゃ言って起きない。

お静、

「兄さんッたら一寸来てよ、大変なの」