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もりのいしまつ
森の石松
山中 貞雄
「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页
「じゃ源兵衛さん、うちの親分の身内になりてえと云う石松ってなァ」
「そうよ、俺の伜だ」
「ほう、じゃ、あの当時、いつも姐さんに抱かれてたあの子供が、そうかい? 源兵衛さん蛙の子は矢っ張り蛙だな」
「蛙の子は蛙か、うめえ事を云やァがる」
源兵衛、淋しく笑う。(F・O)
S=茶店の外
夕やけ小やけ……
半五郎の帰った後、源兵衛一人、表に出て、しょんぼり床几に腰掛けている。
石松、帰って来る。
S=店
お静一人、半五郎から貰った菓子折を開けて饅頭かなんか喰っている。
石松、這入って来る。
「お帰んなさい。今迄何処行ってたの。先刻、清水からお客様が見えたのよ」
「清水って、お貸元の処からか?」
「この間のお礼に見えてね、これ頂いたの。美味いわよ、とっても」
「それで……もう帰ったのか」
「お客様? え、帰ったわ。それが……可笑しいのよ。その人、お父っつあんの昔のお友達だったの」
「父っつあんの昔の友達?」
「二十年も逢わなかったんですって……その人、妾の顔を見ておっ母さんにそっくりだって云ったわ。兄さん、死んだおっ母さんの顔覚えてるでしょう。妾そんなに似てる?」