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もりのいしまつ

森の石松

山中 貞雄

「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页

青空文庫

「おや七五郎?」

「親方、今日は。今もね、お静坊と石松はもう帰って来ねえンだろうって話して居たんですよ」

「帰って来ねえッ? そんな筈はねえ、きっと帰って来る」

「そうですかい」

「今日あたりは、もう帰ってなきァならねえ筈だ」

お静が、

「お入りなさいまし」

「いや、姐さん構わねえで呉れ。七五郎、お前、俺の代りに此処に居て、石松つあんが帰って来たら直ぐに俺の家へ知らせてくれ」

「へえ、それぁもう、儂が間違えなくお知らせ致しますから、親方、どうかお引き取りなすってお呉んなせえまし」

吉兵衛、兼吉等に、

「おう」

「へい」

「此奴に頼んで俺達は帰るとしよう、じゃ七五郎、頼んだぞ」

「へえ、宜しう御座います」

「姐さん、御邪魔したな」

「さよなら」

吉兵衛等、帰って行く。

お静、七五郎に、

「あの人達、此処ンところ毎日よ」

「へえ、吉兵衛親分、毎日来てるんかい?」

「日に二度も来ることがあるわ、あの人達、兄さんに何の用事かしら」

「なーに彼奴等、石松と兄弟分になりてえンだろう、きっとそうだ。相手は次郎長身内で名うての森の石松だ。兄弟分になっときゃあ、彼奴等肩身が広えからな。