轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しいのき

椎の木

豊島 与志雄

「経済往来」1934(昭和9)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,870 字 · 52 页

青空文庫

だが、もう遅いし、ここの家じゃ迷惑だろうから……構やしない一緒に来給え。」

川村さんは勘定をすました。その時、女中がそっと云った。

「あの……もうじきに参る筈ですが……。」

「なにいいよ。この人と少し話があって、ほかに寄ることになったから、そちらで……。」

「では、そう申しておきましょう。」

良一は気になった。

「誰か、お連れでもあるんですか。」

「うむ……あるような、ないような……。」

川村さんは朗かに笑っていた。

五

良一がつれられていったのは、待合の一室だった。しんみりと落付いた室で、酒をのみながら、川村さんの話をきいた。

僕のつとめてる学校の教授室に、若い給仕がいた。後で分ったことだが、中学二年を卒えたきりで、長らく勉強を中絶していたところ、学校の給仕になってから、また勉強をはじめて、中学卒業の検定をとるつもりだった。隙があると書物ばかり読んでいた。

僕はその男に好感がもてた。先方でも僕を好きだとみえて、僕が著わした小さな詩集に署名を求めたこともあった。僕が時々書く詩だの随筆だのは、見当る限り読んでるとのことだった。

人間の好き嫌いというものは妙なもので、どこがどうと取立てて云うことも出来ない。