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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

03 第三部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,781 字 · 235 页

青空文庫

一四 幻滅

それは、お前が私の息子であるのと同じさ。」

次郎の感情は戸惑いした。彼は、父のそんな言葉に、父らしい父を見出して、いつも頭がさがり、そのために一層懐かしくも思うのだったが、春月亭のお内儀にあやまらせたくない気持をそれで引っこめてしまう気にはなれなかったのである。

俊亮は、次郎のまごついている顔を見て微笑した。それから庭下駄をつっかけて、狭い庭を二三度往きかえりしていたが、

「次郎には、やはりまだ当分日除の必要があるようだ。お前ひとりで春月亭に行くのは、ちょっと危ないね。あすは父さんと二人であやまりに行こう。」

次郎は、もう何も言うことが出来なかった。

その晩、床についてから、次郎の頭に浮かんで来たのは、やはり、例の「無計画の計画」という言葉だった。そして「運命」と「愛」と「永遠」とは、この言葉の意味の生長と共に、そろそろと彼の心の中で接近しつつあったかのようであった。

一四 幻滅

翌日、俊亮と次郎とが春月亭をたずねたのは午前十時ごろだった。

白い襦袢と赤い湯巻だけを身につけて、玄関で拭き掃除をしている女がいたので、俊亮がお内儀さんに取りつぐように頼むと、女は、中学の制服をつけた次郎をけげんそうに見ながら、