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おうしゅうきこう

欧洲紀行

横光 利一

横光利一『欧洲紀行』。同一底本的分册已合并为一书。收入:欧洲紀行、静安寺の碑文、北京と巴里(覚書)、我等と日本、スフィンクス(覚書)。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,107 字 · 241 页

青空文庫

それは日本では鎌倉の素朴単純な端正さと精神を一つにしたがごとき美しさに感じられたが、しかし、この北京は何という能力を示しているのであろうか。どことなく人間を愚弄しているがごときこの鈍重さは、政治が人間の万能であることのみを人に教える外交となるのかもしれぬ。新支那がここを嫌って南京に科学の都を造ろうとしたことは賢明な策だったというべきであろう。

新支那が南京を中心として科学の支那の再興を計ろうとしたことは賢明であったが、しかし、惜しくもそのときには早や科学という分析力の方向が、欧洲ではその向くべき意志の力の統制を失っていたときであった。欧洲では力あまった分析力に随って自身の頭の中にまで踏み込みつつ、ここからも科学的法則を掴もうとした結果、認識論的法則と科学的法則との識別作用の混乱が、ますます増大して来た悪時期にさしかかっていたのである。いったい、分析力というものは直感をもって発想方法の根源とすることに間違いのない以上、その根源である直感にまで分析力を働かすということは、可能か不可能かということよりも、人間生活にとって不必要なことである。しかも、その不必要な作用に停止を命じる限界の突破はすでに演じられ、熄みまもなく意識の進行がつづけられたのであってみれば、何かこれに一時停止を命じる暗怪な自然力を渇望するのは