轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいぎ
正義
浜尾 四郎
「新青年」博文館、1930(昭和5)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,327 字 · 43 页
然らばどうして警察で自白したか。
之は単純だ。森木はさんざん責められた上自分が大体はじめに嘘を云っているので、やり切れなくなり、勝手な事を自白してしまったので、こんなケースはめずらしくはない。警察でどの程度まで被疑者をいじめるか僕は知らないが、よくうその事実を自白する人間のある事は君だってきいてるだろう。森木もその不幸な人間の一人だった。最初にくだらない嘘を云ったが為に、とんでもない嘘を云わなければならないようになってしまった。
彼は此の儘で検事の前もすごした。勿論一応検事の前では警察の自白を否認したそうだけれ共、『そんないろんな事を云ってはいかん』とどなられてから又そのままに戻ってしまったのだ。
こうなると、被告人心理には妙な幻影が出来てくるものだ。われわれが外部から見て、どんな馬鹿な目に会ったって生命にかかわるような出たらめを云う筈がない、と思うにも不拘、被告人は一旦筋道の立った嘘を云ってしまい、それを度々くり返して居ると、それがだんだん恐ろしくなくなり、しまいには案外平気になってしまうらしい。
森木国松は、恐ろしい強盗殺人の罪を自白してから予審判事の前でも第一回第二回目の訊問まで同じ事を云っている。