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ゆがんだまど

歪んだ窓

山川 方夫

「龍生」1963(昭和38)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,198 字 · 7 页

青空文庫

いうと、姉は思い切ったようにそそくさと部屋を出て行く。白いレーン・コートの裾がひるがえって、扉が大きな音をたてて閉まる。

彼女は、小さく泣きはじめた。小暗い部屋の隅でうつぶしたその骨ばった肩が慄え、彼女は声をたてて泣きつづけた。

雨はあいかわらず降りつづけている。雨滴が絶え間なくガラスの窓を流れ、遠くに、かすかに雷の音も聞こえる。雷が鳴れば梅雨はあけるのだというのに、今年の梅雨は、いったい、いつまでつづくのだろう。

やがて、彼女は立ち上り窓に顔をうつした。涙でくしゃくしゃに汚れた、青黒く生気のない陰気な顔。色白で大柄な美しい姉とは、似ても似つかぬ不器量な、醜い顔。二十三にもなるのに、ギスギスした発育不全の中学生みたいな固く平たい胸。――きらい、お前なんて、私は大きらい。お前なんか、死んでしまえばいい。どうなっちゃってもいい。

自分で自分にいい、彼女は目をつぶった。また新しい涙がこぼれた。

もし私が、お姉さんのような美人だったら。そしたら私だって、お姉さんみたいに朗らかで人なつっこく、誰からも可愛いがられ、いまのように家でブラブラしていることもなかったのに。