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しとはなししたひと
死と話した人
小川 未明
「童話文学」1928(昭和3)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,429 字 · 5 页
Aは、秋の圃へやってきました。夏の時分には、小道をふさいで、脊高く伸びていた、きびや、もろこしの葉は、褐色に枯れて、茎だけが、白さびの出たと思われるほど、かさかさにひからびて、気味悪く光っていました。そして、ところどころに、赤い実のとうがらしが、頭を上げて、すきとおるような、青い空をながめていたのです。
もう、北の方から吹いてくる風は、なんとなく冷ややかでした。あたりは、しんとして、これらの景色は、ガラスに描かれた絵のように、音もなかったのでした。
彼は、なんの気なしに、圃の中へはいってゆきますと、見知らぬ大きな男が、すぐ前に突っ立っていました。
「見なれない百姓だな。」と思って、彼も、立ち止まって、その顔を見上げますと、赤銅色に日に焼けて、角張った顔は、なんとなく、残忍な相をあらわして、あちらをにらんで、身動きすらしなかった。鼻の先がとがって、両眼が落ちくぼんで、手ぬぐいで向こうはち巻きをして、きっと口をむすんでいます。
彼は、多少、無気味になりました。
「それにしても、鋳物のように動かないのはおかしいな。まさか、かかしではあるまい……。」
こんなことを考えているうちに、それが、普通の人間としては、ばかに大きいということに気がついた。