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しのふくしゅう
死の復讐
国枝 史郎
「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,539 字 · 16 页
もう此頃には饗宴をしていたもう一軒の家の中から大勢人々が走って来て、耕地の周囲を取り巻いて此問答を聞いていた。中に其家の主人がいたが、何か口の中で呟きながら時々ニヤニヤ笑ったりして其辺を行ったり来たりした。やっぱり六十を過ごしていたが殺された老人とは似も似つかず脂肪ぎっていかにも壮健そうだ。チホンというのが彼の名で、殺された老人のイサクとは親の代から仲が悪く、二人の間の仲の悪さは此辺の部落でも評判であった。
「何んのために老人を殺すんだと、どんなに君が呶鳴ったところで僕はちっとも怖くはないよ」
警視ゴロネフは冷笑いながら、ぐんぐん訊問を続けて行く。
「ロストフの市を逃げ出す時」と、彼は厳かに言葉を改め、
「君は同主義の友人から拳銃を一挺貰ったそうだが、その拳銃はどこへやった?」
「別にどこへもやりはせぬ」
若者は片手をズボンへやってカクシの辺を探って見た。しかし其処にはなんにも無い。
「無い!」と彼は呟いた。その顔がいくらか蒼くなった。
「先刻まで此処に有ったんだが……そうだ、寝る時まであったんだが……」
「今は無いとでも云うのだろう――それは如何にも無い筈だ。