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しまでをかたる

死までを語る

直木 三十五

「話」1933(昭和8)年9月号~1934(昭和9)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,739 字 · 85 页

青空文庫

中学へ行ってから、夕陽丘女学校ができたが、私と河合二人が、夕陽丘の、藤原家隆の墓の前へ立って、女学校の方へ向いて、四人とも、小便をし、これが、市岡中学の生徒と、何うして判ったのか、女学校から、かけ合にきて、びっくりしたのと、こういう話は、二つもっている。

それから、私が、金を盗んだ話であるが、第五回内国博覧会は、いつだったであろうか、三十五年か、六年とすれば、高等小学三四年であるが、これは細かに憶えている。

この博覧会に、カーマンセラ嬢電気の舞というのがあった、これを何うかして見たいが見せてくれそうにない。それで、一円盗んで見に行く決心をしたが、貧乏の家に盗める一円なんぞ有ろう筈がない。それで一策を考えて、店の金を入れる張り子の小さい籠を利用する事にした。渋紙張りの汚い四角の籠。上部に太い竹を使ってあるが、この太い竹と、その下に使ってある、へいだ竹との間の渋紙が、破れている。逆様にして、金を出すと、その破れへ一寸引っかかる事がある。私は、その破れを大きくして、その間へ、五十銭を入れる事にした。見つかって、引出せば元々、夜計算をして首尾よく、引っかかったままで通過すれば五十銭になる。